被相続人の準確定申告
ブログ 相続税 確定申告
更新日: 2019/11/21
相続が発生した場合、相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に亡くなられた方(被相続人)の1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。今回はこの準確定申告の注意事項について説明させて頂きます。
(1)納税地
被相続人に係る所得税の納税地は、被相続人の死亡当時における所得税の納税地となります。つまり、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署に申告書を提出する必要があります。
(2)医療費控除
その年の医療費控除の対象となる医療費の金額は、その年中に実際に支払われた金額に限られ、未払の医療費は現実に支払われるまで医療費控除の対象となりません。従って、被相続人の死亡後に支払われた医療費は、被相続人が支払ったことにはならないので、被相続人の準確定申告上、医療費控除の対象にすることはできません。
一方、医療費控除は、本人の医療費のみならず、医療費を支出すべき事由が生じた時又は現実に医療費を支払った時のいずれかの現況において、その医療費を支払った者と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費をも対象としているため、被相続人の医療費を支払った相続人が被相続人と生計を一にする親族であった場合においては、相続発生後に支払った被相続人の医療費は、その相続人の所得税の計算上、医療費控除の対象に含めることができます。
(3)配偶者控除等
年の途中で死亡した納税者本人に、控除対象配偶者又は扶養親族があるかどうかは、その死亡の時の現況によって判定します。その判定にあたっては、次のように取り扱われます。
(1) 死亡した納税者とその配偶者その他の親族とが生計を一にしていたかどうか、及び配偶者その他の親族関係にあったかどうかは、その死亡の時の現況により判定します。
(2) その配偶者その他の親族の所得は、その死亡の時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの合計所得金額により判定します。
(4)固定資産税の必要経費算入
固定資産税等のように賦課課税方式による租税で、納期が分割して定められている税額については、各納期の税額をそれぞれ納期の開始の日又は実際に納付した年の属する年分の必要経費に算入することができることとされています。
固定資産税については、多くの市町村が毎年4月以降に納税通知書が送付されますので、それ以後に相続が発生した場合に限り、被相続人の準確定申告において必要経費に算入することができます。
必要経費に算入する場合には、その全額、納期到来分、納付済額のいずれかの方法によることができます。相続人においては、被相続人の必要経費算入額の残額について、自己の必要経費とすることができます。
準確定申告については、相続発生日から4カ月以内に行わなくてはなりません。
被相続人本人は毎年確定申告を行い、慣れていても、残された相続人は確定申告をしたことがないということもあります。そのような場合は早めに専門家に相談していただくことが望ましいと考えます。
なお、納税ではなく、還付申告となる場合は、申告期限は4カ月以内ではありませんが、本当に還付申告となるかは早めに計算する必要があると考えます。
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- ・記帳済みの通帳
(相続発生日の残高証明書を入手済みで あれば、残高証明書) - ・固定資産税の賦課決定通知書
- ・生命保険金の保険証書
(保険手続きが完了されている場合は、保険金支払通知書)